にんにくには、数多くの薬効成分による薬理作用があると言われている食材です。その長い歴史からほぼ解明されているものもありますが、いまだ研究途上の効能も少なくないのです。また、にんにくの成分はとても強く、とり過ぎや生にんにくの過剰摂取などは胃壁を荒らすなど、逆に身体によくない結果も判明しています。しかし注目すべきは、食物・香辛料・薬草として人に長く愛されて摂取されてきたにんにくの長い歴史から、その豊富な栄養成分と、非常にすぐれた数多くの効能・効果がすでに解明されていることが喜ばしいところです。米国国立ガン研究所が、1990年に開始した「デザイナーフード計画」なるものが存在します。がん予防に効果があると推定される食品等を約40種類選んで、重要度に基づいてピラミッド型の図に構成したものです。この研究の結果、最も重要なピラミッドの頂点に輝いたのがにんにくなのです。そして、アメリカでもっとも支持されているサプリメントも、にんにくです。ピラミッドの頂点に輝いたにんにくですが、もっともがん予防ににんにくが本当に効果があるかについては、人を対象に大規模な臨床実験を長期間に渡って行う必要があるため、確定的な結論が導かれたわけではありません。現在、多くの国でにんにくのがん予防効果に対する大規模な研究・実証実験が進んでいますので、その結果を期待したいと思います。
にんにくに含まれる成分の中で、「アリシン」というものがあります。この「アリシン」こそ、にんにくの様々な効能・効力の源と言われているのです。無臭の「アリイン」という成分が、切ったりすりおろしたりすることで細胞が壊れ、酵素の働きによって分解されて、「アリシン」に変化します。この「アリシン」が独特なにおいのもとであり、「アリシン」が多く含まれるにんにくこそよいにんにくと言う研究者もいるほどなのです。「アリシン」は血液に溶け込み体内を循環するため、肺にたまった「アリシン」が呼気として外にだされるとき、それが息をはくときのにおいとなって表われます。「アリシン」は人間の皮膚からもたやすく浸透し、血液に溶け込んで体内を循環するので、身体の中の「アリシン」がすべて分解・排出されないと、にんにくのにおいそのものからはなかなか解放されないわけです。そんなにんにくの成分である「アリシン」ですが、様々な効能・効果があるため、以下にその一部をご紹介しましょう。
・殺菌・抗菌作用
「アリシン」の殺菌・抗菌作用は非常に強力で、12万倍に薄めた液でもコレラ菌やチフス菌、赤痢菌などに対する抗菌力があります。細菌による風邪や鼻炎などの予防にも使われており、戦時中には外用薬としても使用されたほどです。
・疲労回復・滋養強壮作用
体内で糖質のエネルギー代謝を効率よく行うために不可欠とされるビタミンB1だが、その一度に吸収される量は限られ、体内での蓄積率が極めて低いと言われています。にんにくに含まれる「アリシン」は、ビタミンB1と結合して「アリアチミン」という形に姿を変えるが、これによって元のビタミンB1と全く同じ働きをするだけでなく、より長い間、血液中にとどまっていることができるようになるのです。ビタミンB1の吸収が有効に行われることで、身体の代謝が活発になり、活動エネルギーをつくりだすことから、疲労回復や滋養強壮作用をもたらします。また、同じくにんにくの成分である「スコルジニン」にも、新陳代謝を活発にする作用、強壮・強精作用があります。
・血行を良くし、血中コレステロール値を下げる作用
「アリシン」は体内で脂質と結合することにより、「脂質アリシン」という成分に変化します。これはビタミンEと同様血行を良くし、赤血球を増やす働きがあるのです。「アリシン」を加熱してできる「アホエン」という成分には血栓を予防し、血中コレステロール値を下げる作用があります。同じくにんにくに含まれる成分の「スコルジニン」にも、新陳代謝を活発にして血行をよくする働きがあります。またビタミンE効果として、血行を良くし細胞の働きを活性化することから、しびれや冷えの改善効果や、美肌づくりの効用もあると言われています。
・成人病などの予防効果を期待できる、抗酸化作用
人体が酸素消費の過程で生成する活性酸素は、成人病や老化、あるいは発がん物質のきっかけとなると言われています。体内でこれら活性酸素を除去する酵素の働きを助ける作用があることから、抗酸化力を高め、動脈硬化や成人病などの予防効果が期待されています。
Last update:2019/1/30
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